総務・経理担当者が知っておきたい労務事務の届出窓口はここ!

総務・経理担当者にとって、社会保険や労働保険に関する会社の手続きを行う場合、どこに何を届け出ればよいのか、迷うことが多いといいます。

社員が退職した際の届出先はどこ?
品川工業では、総務担当になった目黒さんが、労務関連(社会保険、労働保険)の事務 について、何を、どこで手続きすればよいのかがよくわからず、総務の上野課長のところ にやってきました。

(目黒)
退職した社員の社会保険、労働保険について、届出が必要なのですが、どこに何を届ければいいのかが、よくわからないのですが……。
(課長)
社員が退職する場合、社会保険については、健康保険・厚生年金保険の資格喪失の届出を年金事務所にしなければならないんだ。労働保険については、雇用保険の資格喪失の届出をハローワークに出すんだ。
(目黒)
わかりました。それと、最近、出産した女性社員に、健康保険から給付が出るようなのですが、この申請は、どこにすればよいのでしょうか。
(課長)
それは、健康保険協会だな。窓口は、各都道府県に一つだから、郵送で手続きするといいよ。

労務関連(社会保険・労働保険)の事務には、例えば次のようなものがあります。
●社員の入社、退社、扶養の手続き
●氏名や住所変更の届出
●ケガ、病気、事故による給付申請
●出産、死亡、育児・介護による給付申請
●給与関連(給与金額変更、賞与支払いなど)の届出
●会社に関係すること(設立関連、社名変更、代表者変更、住所変更、支店開設など)の届出
●労使協定関連の届出         等々

社会保険・労働保険の届出先機関一覧

これらの事務は、届出窓口(行政窓口)が異なりますが、社会保険関連は、健康保険協 会や年金事務所、労働保険関連は、労働基準監督署やハローワークになります。(図表1)
ただし、社会保険について、会社が健康保険組合(削)や厚生年金基金(※2)に加入している場合は、原則として、それぞれの組合、基金への手続きが必要になります。それぞれの窓口へご確認ください。

※1 健康保険組合(組合けんぽ)とは、国が行う健康保険事業を代行する公法人。中小企業では、同業種の複数の企業が共同で設立した健康保険組合にカ日大している場合がある。企業はて健康保険組合か、政府管掌の健康保険協会(協会けんぽ)のどちらかに加入している。
※2 企業や業界団体等が厚生労働大臣の認可を受けて設立する法人であり、国の年金給付のうち老齢厚生年金の一部を代行するとともに、厚生年金基金独自の上乗せ(プラスアルファ)を行い、年金資産を管理・運用して年金給付を行う。厚生年金基金の加入者は、国と基金の両方から老齢給付を受けられる。

経理・総務担当者の方へ
労務事務に関する手続きは、次の3つの柱を押さえておけばわかりやすい!(図表2参照)
①入退社に伴う事務
②社員の異動や会社所在地等の変更に伴うスポット的な事務
③年間で定期的に行う事務(労働保険の年度更新や社会保険の算定手続きなど)

代表的な手続きと届出書類の一例
手続きの例 届出先 届出書類の例
入退社に伴う事務 社員の入社 ハローワーク年金事務所 雇用保険被保険者資格取得届健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届
社員の退職 年金事務所 雇用保険被保険者資格喪失届雇用保険被保険者資格離職証明書健康保険、厚生年金保険被保険者資格喪失届
社員の家族の扶養手続き 年金事務所 健康保険被扶養者(異動)届(被扶養配偶者(20歳以上60歳未満)の場合は、国民年金第3号日保険者資格取得も提出)
従業員の異動などスポット的な事務 社員の出産 全国健康保険協会 健康保険出産手当金支給申請書健康保険被保険者、家族出産育児一時金支給申請書 等
社員が私傷病で休んだ場合 全国健康保険協会 健康保険傷病手当金支給申請書(連続3日以上休み、給与が支払われていないの場合に支給)
業務中にけがをした場合 労働基準監督署 [指定病院にかかった場合]療養補償給付たる療養の給付申請書 等[4日以上休み、賃金を受けられない場合]休業補償給付支給申請書 等
各種助成金 ハローワーク [助成金の例]雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)試行雇用奨励金 等
定期的な事務手続き 社会保険の算定手続き(年1回) 年金事務所 被保険者報酬月算定基礎届等
労働保険の年度更新手続き(年1回) 労働基準監督署 労働保険概算、確定保険料石綿健康被害救済法一般拠出金申告書
時間外労働、休日労働に関する届 労働基準監督署 時間外労働、休日労働に関する協定書(36協定)