法人税には、一定の条件のもと、当期に欠損金が生じた場合に、前期に納税した税金を返してもらう 繰戻し還付と、来期以降の黒字から当期の欠損金を控除できる繰越控除があります。
欠損金の繰戻し還付
欠損金の繰戻し還付制度は、当期に生じた青色欠損金(赤字)を前期に繰戻して、前期分の納付した法人税額の還付を受けることができる制度です’‘(図表1)。
現在、資本金の額が1億円以下の中小法人や清算中の法人などに適用が認められています(平成24年度税制改正によって、大企業については、引き続き、繰戻し還付の適用が停止されています)。
(注)大法人との問にその大法人による完全支配関係にある普通法人は除かれます。
還付を受けた法人税額は、所得に含まれず、税金はかかりません。
ここに注意!
①税法上、税務署長は「還付の請求があった場合には、必要事項について調査し、調査したところにより法人税を還付する」ことになっています。つまり、税務調査を受ける可能性があることを十分に認識しておく必要があます。
②法人住民税や法人事業税には繰戻し還付制度はありません。
繰戻し還付を受けるかどうかの判断は?
この制度を利用して、法人税額の還付を受けることができれば、特にぞの金額が多額であるほど、会社の資金繰りに大きく貢献します。
ただ、税務調査などが気になり、利用するかどうか判断に迷うところです。
そこで、次のような点を確認し、制度を利用するかどうかを検討してみましょう。
判断のポイント
1.還付される法人税が多額であり、還付された場合、会社の資金繰りに大きく影響するか。
2.翌期以降も赤字や低業績が見込まれるが。
3.赤字となった理由がはっきりしているか。
4.法令等の改正も考慮に入れて、繰戻し還付を行ったほうが有利かどうか。等々