欠損金の繰越控除制度は、例えば、当期に発生した欠損金(赤字)を翌期以降の黒字の所得と相殺することにより、過年度の欠損金に対応する法人税、法人住民税、法人事業税を少なくさせることができる制度です(図表2)。
繰越すことができる欠損金は、次のようなものです。
①青色申告書を提出した事業年度の欠損金(青色欠損金)
②白色申告書を提辻「した事業年度の災害による損失金(災害損失金)など
なお、平成23年度の税制改正により、上記①②の欠損金の控除期間と帳簿保存期間が改
正されました(図表3)。
赤字を放置しない
繰越欠損金の控除期間が7年から9年に延長されたからといって、その期間は赤字を放置してよいというわけではありません。
発生した欠損金は次の観点から翌事業年度以降できるだけ早いうちに黒字の所得と相殺し、その損失を取り戻しましょう。
赤字を放置していると……。
①赤字の垂れ流しは過剰債務につながります。
②赤字にはキャッシュの流出が伴います。
赤字から脱却するには、例えば、役員報酬に減額の余地がある場合、減額することにより社会保険料や代表者個人の所得税の負担が抑えられ、税務上、会社に残った利益も欠損金との相殺により少なくなります。
このような対策は、できるだけ早い段階に行った方が効果は高くなります。会社経営上、早期の赤字解消が望まれます。
2.欠損金の繰越控除