決算書は経営のカルテ①
決算書の数値は、会社の現状を映し出す鏡であり、その健康状態を示すカルテのような役割を果たすことが可能です。決算書を経営に生かしましょう。
生活雑貨の販売業を経営する多望社長は、顧問会計事務所の所長から「せっかくの決算書をもっと経営に役立てましょう」とアドバイスを受けました。
決算書には原因を探るヒントがある
所長:
社長、決算書から会社の問題点を見つけて、改善に生かしてみませんか?
多望:
また、経営分析とか、なんとか比率とかいうやつでしょう。そういうのは苦手なんです。仕事も忙しいので、勘弁してくれませんか…‥・。
所長:
今日は、長い話をするつもりはありません。それより社長、最近、資金繰りが苦しくなっていませんか?
多望:
そうなんですよ。今期は、営業に力を入れ、なんとか前年並みの売上を維持しているのに、どうしてなんでしょう。
所長:
たとえば、去年と比較して売掛金が大きくなっていたり、商品の在庫が増えたりしていませんか?
多望:
どうだったかな~。
所長:
その原因を探るヒントが決算書からわかるんです。ちょっと貸借対照表を見てください。
多望:
去年と比較すると、売掛金がかなり増えているようだな。
所長:
何か思いあたることはありますか?
多望:
今年は、売掛金の回収が遅れているところがあります。やはり、もっと回収努力をしなくてはダメだな。