残業時間の削減に取り組もう
残業代は経営者にとって頭の痛い問題です。他社の残業時間の削減への取り組み事例も参考にしてみてはいかがでしょうか。
残業時間の削減を検討している品川工業では、他社の取り組みを参考にすることにしました。
工夫改善で残業時間を削減できないか?
上野課長:
いやー、残業削減といってもなかなか減りませんね。
品川社長:
「残業削減!」を呼びかけているが、なかなか減らないなあ。
上野課長:
この間も、工場長や現場の者から「忙しいから無理です!」と言われてしまいました。
品川社長:
仕事が減っているにもかかわらず、残業代が増えている状態は改善しなければだめだぞ。
上野課長:
それで、残業削減の事例を調べてみたんですよ。
上野課長は、参考となる中小企業の事例を調べ、品川社長に報告しました。
事例1 従業員自身が週1日の「ノー残業デー」を設定
運送業A社(社員28名)では、全社一斉の定時退社日(ノー残業デー)ではなく従業員ごとの定時退社日を週1日実施しています。
毎月の勤務シフト表を作成する際に、従業員が定時退社日を決めます。この方法だと、従業員の実情を反映した対応が可能となるため、残業削減がしやすいということです。従業員も、自分で決めた定時退社日を守るため、効率的に業務を進めることを意識しはじめるようです。
運送業務は、出荷状況や交通事情などによって残業が発生してしまうことが多いため、出荷状況や交通事情に合わせて柔軟な勤務時間にできないか、さらに工夫改善に取り組んでいるそうです。
事例2 残業の事前承認により残業時間を削減
自動車部品製造業M社(社員60名)では、残業を事前承認制することで、ダラダラ残業や付き合い残業をなくすようにしました。事前承認制とは、上司に事前に残業の申告をして承認を得る仕組みです。承認なく残業をしている場合は、注意・指導しているようです。これにより、極端に残業時間の多い従業員はいなくなったほか、休日出勤をする従業員も減少傾向にあります。
また、機械設備の故障・トラブル時に業務が停滞することが残業の要因の一つであることがわかってきました。
対策として、機械設備を自社製作し、故障やトラブルに対して自社で対応できるように進めています。
※事例1、2「厚生労働省 中小事業主に役立つ時間外労働削減の事例集」をもとに作成しています。