改正労働者派遣法のポイントは
派遣社員を雇用する予定です。最近、労働者派遣法が改正されたそうですが、そのポイントを教えてください。(小売業)
今年4月に労働者に派遣法が改正されましたされましたが、その背景には2008年のリーマン・ショックにより、年越し派遣村の問題など、派遣切りや派遣社員の待遇改善があります。このため、法律の名称が改正され、「派遣労働者の保護」と明記し、法の口約に「派遣労働者の保護・雇用の安定」と明記されました。
具体的な改正の柱は、①事業規制の強化②派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善③違法派遣に対する迅速・的確な対処です。
第一の事業規制の強化としては、日雇い派遣 (短期間雇用者派遣)が原則禁止となります。日雇い派遣とは、日々または30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣を指します。
ただし、適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合(政令で定める業務)や、雇用機会の確保がとくに困難な場合等は例外的に日雇い派遣が認められます。
また、グループ企業内への派遣は8割以下に規制されます。
さらに、派遣先は、自社を離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることは原則禁止となります。
第二の待遇の改善に関しては、派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率) などの情報公開が義務化となります。
派遣元事業主は、雇い入れ等の際には、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額も明示しなくてはなりません。
また、労働者派遣契約の解除の際には、派遣元及び派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保や、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置が義務となります。
さらに、派遣元事業主に対し、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置が努力義務となります。
なお、派遣元事業主が派遣労働者の貸金等を決定する際には、同種の業務に従事する派遣先の労働者との賃金水準との均衡も考慮しなくてはなりません。同じ仕事をする派遣労働者と派遣先の社員との、貸金の均衡が求められます。
施行は10月予定
第三の違法派遣対策については、違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされます。
ただし、違法派遣の直接雇用申し込みみなし制度の施行は、3年の猶予期間がありますが、派遣先の責任が強化されることになります。また、処分逃れを防止するため、労働者派遣事業の許可等の欠格事由も改正となります。
これらの改正により、派遣労働者を受け入れている企業の場合、10月改止に向けて、日雇い派遣の原則禁止に該当するかどうか (禁止の例外は後日政令で定められます)、離職した労働者の離職前企業への派遣の禁止に該当していないかどうかなどの確認と今後の対応策を検討する必要があります。
また、3年後に施存される違法派遣の労働費約申し込みみなし裁定への対処として、適正な派遣契約となっているか、偽装請負でないかのチェックが重要となります。
施行期日は、平成24年4月6日公布の日から6カ月以内の政令で定める日(10月予定)となっています。