金銭の貸し借りでの注意
会社と社長との問の金銭の貸し借りの際には、その理由等について株主総会や取締役会の承認決議を得て、議事録に残すとともに、「金銭消費貸借契約書」を交わします。
「金銭消費貸借契約書」は、借入金額、利息、返済条件など具体的な内容を明らかにしておきます。利率を決めた際の参考書類等も保存しておきます。
- 必要書類
- 金銭消費貸借契約書、利率の決定にあたって参考にした資料、書類 など
- 明らかにしておく事項
- 貸借金額、貸借期間、利率(利息)、返済条件、弁済期日 など
(1)会社が社長から借り入れる際の利息
会社が社長から金銭を借り入れるにあたっては、無利息でも問題はありませんが、利息を支払う場合には、一般的に適正と判断される利息(注1)よりも高すぎると、その高すぎる部分が社長への給与とされ、所得税が課税されます。(図表2)
(注1)適正と判断される利息とは、前事業年度中の借入金
の平均調達金利や市中金利などをもとに算定します。
(2)会社が社長に貸し付ける際の利息
社長が会社から金銭を借り入れる場合には、社長は会社へ利息を支払う必要があります。
無利息であったり、支払う利息が適正と判断される利息よりも低すぎると、その低すぎる部分が社長への給与となります。(図表3)
(3)長期間未精算の社長への仮払金
長期間、精算されていない社長への仮払金は、税務調査で社長への貸付金や給与とみなされる可能性があります。
未精算の仮払金の実態が、明らかに貸付金であれば、社長への貸付金として処理する必要があります。
社長への貸付金は、決算書上は、会社の資産ですが、金融機関から見た場合、「現金化できない不良資産」「社長の公私混同」といった視点から評価が下がり、融資の際のマイナス要因になるおそれがありますので注意しましょう。
社長への貸付金は、早期に解消する必要があります。