相続税の基礎控除を4割縮小
改正のポイント
相続税等による資産の再配分機能が低下している状況を受けて、課税ベースの拡大などの見直しが行われます。
(1)相続税の基礎控除の引き下げ及び税率構造の見直し
相続税においては、次のような改正が行われます。
①基礎控除を引き下げ課税ベースを拡大
基礎控除が図表7のとおり現行の6割に引き下げられ、これまで相続税がかからなかった場合でも課税となるケースが出てきます。引き下げの影響は図表8のとおりです。
②最高税率の引き上げと税率構造の見直し
最高税率が55%に引き上げられるとともに、税率区分が6段階から8段階に改められます。
③小規模宅地等の特例適用の拡充
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算特例について、特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積が次のように拡大されます。
同時に、特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能となります。
改正前240㎡までの部分→改正後330㎡までの部分
(2)贈与税の税率構造の見直し
相続時精算課税の対象とならない贈与財産にかかる贈与税率について、最高税率が55%に引き上げられるとともに税率区分が8段階に改められます。
(3)相続時精算課税制度の適用要件見直し
贈与者の年齢要件を60歳(改正前65歳)以上に引き下げ、受贈者(贈与を受ける人)の範囲に20歳以上の孫が追加されます。
適用:上記(1)~(3)の改正は、平成27年1月1日以後の相続・遺贈または贈与について適用されます。
(4)直系尊属(祖父母等)から子・孫への教育資金1500万円一括贈与が非課税
子・孫(30歳未満の者に限る)の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を出し、金融機関等に信託等をした場合、受贈者1人につき1,500万円までの金額については、贈与税が非課税とされます。
適用:平成25年4月1日から同27年12月31日までの間に拠出するものに適用されます。