Author Archives: 梅本会計事務所

《中小企業経営力強化資金》のご案内(第2回)

こんにちは、TKCうめもと会計事務所 代表税理士の梅本です。
前回は、日本政策金融公庫の制度融資の1つである中小企業経営力強化資金の特徴や概要についてお話しいたしました。
今回は、実際の利用要件について触れてみたいと思います。
【この制度融資を利用できる方】
次のすべての条件に当てはまることが必要です
1.経営革新または異分野の中小企業と提携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む)を行おうとする方
2.自ら事業計画の策定を行い、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に定める認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けている方

上記1についての注意点ですが、フランチャイズに加盟して開業しようとする方は対象になりません。これは、当該資金が融資先を新規性、独自性のある事業を対象としているためです。ただ、新規性といっても、とくに難しく考える必要はありません。前回お話ししたように私どもの関与先で融資を受けた美容室のお客様の場合、使用するシャンプーにオーガニック素材の使用したものを使う、であるとかアンチエイジング効果のあるヘッドマッサージを全てのお客さまに施術すること、など無理なくできるアイテムを事業計画書にのせ、無事パスしました。
また上記2にある【認定経営革新等支援機関】とは、国が認定した中小企業等への支援機関を指し、おもに税理士事務所などがなっている場合が多いようです。私ども支援機関が実際に支援していく内容としては、①公庫へ提出する事業計画書に、新規性等に関する所見を陳述し支援機関としての確認印を押印すること②融資実行後も、事業計画が確実に実行されているか試算表などを通して実績値との対比・モニタリングを行っていく、などが挙げられます。毎年、事業計画がどのくらい進捗しているか報告をしていく煩雑な義務が生じますが、低金利などもメリットを考えた場合トライしてみる価値は十分あると思います。
もちろん支援機関に認定されているところ(私どもの事務所も含めて、(笑))は、どこも親切丁寧なフォローをしてくれますので、ご安心を!(^^)!

次回は、実際の申し込みの流れなどをお話ししていきたいと思います。こうご期待を!

 

《中小企業経営力強化資金》のご案内(第1回)

こんにちは、TKCうめもと会計事務所 代表税理士の梅本です。
今回は、注目を浴びている資金調達の新しい方法、《中小企業経営力強化資金》をご紹介いたします。
こちらは日本政策金融公庫が出している制度融資の1つですが、まさに中小企業の救世主といえるくらいに魅力的な資金調達の1つです。
その特徴とは
1) 低金利である!
2) 無担保・無保証で最大2000万円まで借り入れできる!
3) 自己資金の要件なし!
という3つの大きなメリットにあり、起業・開業を考えている方や中小企業の経営者にとって心強い味方となる融資です。
実際に私たちの関与先で、昨年末に美容室を開業した個人事業者の方は1600万円を1.35%という超低金利で申込み満額を借り入れることに成功しました。
起業支援専門家でもまだこの融資制度を知らないという方も多く、せっかく国策としてスタートしたものですが、非常にもったいない現状にあります。
今後、実際にご利用いただける方の条件や実際の申し込みの流れなど、数回に分けてご紹介していきたいと思います。乞うご期待ください!

第2回へ続く

年末調整・確定申告の手続きに必要な書類の紛失に注意!

10月頃から年末調整や確定申告の手続きに必要な保険に関する控除証明書等が社員の自宅に届きはじめます。年末調整や確定申告で各種の控除を受けるには、こうした書類が必要です。

「保険料控除証明書」等を紛失しないよう社員に注意を喚起

年末調整や確定申告で各種の控除を受けるには控除証明書などの書類の添付等が必要になります。

例えば、生命保険料を支払っている人で、年末調整等で生命保険料控除を受けるには、控除証明書を添付または提示しなければなりません(コピーは不可)が、控除証明書は、通常、契約先の保険会杜から 10月頃に送られてきます。数年分まとめて送られてくる場合もありますので、無くしてしまうケースが多く見受けられます。

控除証明書など控除を受けるのに必要と思われる書類はきちんと保管しておくように社員に注意を促しましょう。

年末調整で必要な主な書類は図表1のとおりです。また図表2は確定申告で控除を受けるのに必要な書類です。

図表1 年末調整で控除を受けるのに必要な主な書類
控除 必要書類 証明書等の発行元
生命保険料控除 生命保険料控除証明書(一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料がそれぞれ分かるもの) 生命保険会社
地震保険料控除 地震保険料控除証明書 損害保険会社
社会保険料控除 社員自身が納付した国民年金保険料、国民年金基金の掛金の控除証明書や領収書(生計を一にする親族の負担分を含む) 日本年金機構
国民年金基金
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金払込証明書(小規模企業共済に加入している人) (独)中小企業基盤整備機構
住宅ローン控除(2年目以降)※ 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 税務署
住宅ローンの年末残高証明書 金融機関
図表2 確定申告で控除を受ける場合に必要な主な書類
控除 必要書類
医療費控除 医療機関等に支払った医療費や通院時の交通費等の領収書など
住宅ローン控除(初年度)※ 土地・建物の登記簿謄本、金融機関等からの借入金残高証明書、住民票の写し、源泉徴収票、売買契約書または建築請負契約書など
寄附金控除(ふるさと納税等) 寄附年月日、寄附金額、控除対象となる旨を証する書類
雑損控除(災害を受けた場合) 災害関連支出及び災害時のやむを得ない支出の際の領収書

※住宅口ン控除の初年度は確定申告で行う必要がありますが、2年目以降は、年末調整で行うことができます。

パートで働く主婦の税金と社会保険

年末が近づくと、パートで働く主婦には、夫の扶養の範囲内に収まるのかどうか、いわゆる「l03万円の壁」や「130万円の壁」が気になるところです。

※本欄では説明をわかりやすくするため、パートで働く妻とサラリーマンの夫を例に解説します。

1 パートの年収が103万円を超えると所得税がかかる

パートで働く主婦の年収(給与収入のみでほかに収入がない場合)が103万円以下であれば、主婦本人に所得税が課税されないうえ、夫は所得税の配偶者控除(注1)を受けることができます。

そのため、年収が103万円を超えないように主婦が働く時間を調整することから「103万円の壁」といわれます。

主婦の年収が103万円を超えると、夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、夫の収入が一定額以下(注2)で、かつ主婦の年収が141万円未満であれば、配偶者特別控除を受けることができます。

配偶者特別控除は、妻の年収に応じて夫の所得から38万円~3万円を控除することで、税負担を緩和(世帯の手取収入が一気に減らないように)するものです(図表1・2)。

(注1)所得税において、収入が103万円以下の妻がいる場合、夫の所得から38万円が控除されます。

(注2)収入が給与収入のみであれば、概ね年収1,230万円以下が目安です。夫の場合、夫の所得から38万円が控除されます。

図表1 配偶者控除・配偶者特別控除早見表
本人(妻)のパート収入 配偶者控除 配偶者特別控除
103万円以下 38万円
103万円超 105万円未満 38万円
105万円以上 110万円未満 36万円
110万円以上 115万円未満 31万円
115万円以上 120万円未満 26万円
120万円以上 125万円未満 21万円
125万円以上 130万円未満 16万円
130万円以上 135万円未満 11万円
135万円以上 140万円未満 6万円
140万円以上 141万円未満 3万円
141万円以上
図表2 例:夫の収入が500万円の場合の世帯(妻と小学生の子供2人)の所得税額
妻の収入 100万円 125万円 140万円
妻の所得税 0円 1万1,000円 1万8,500円
夫の所得税 17万2,500円 19万4,500円 20万7,500円
世帯の税金 17万2,500円 20万5,500円 22万6,000円

※金額は概算です(復興所得税は除く)。

2 パートの年収が130万円以上になると扶養から外れる

サラリーマンの妻は、夫の社会保険の扶養等になることで、社会保険料(健康保険料、国民年金保険料)が免除されています。

しかし、パートの年収が130万円以上になると(注3)、夫が加入する社会保険(健康保険・年金)の扶養家族(被扶養者)の範囲等から外れてしまい、妻本人が社会保険料を支払う必要があります。そのため、「130万円の壁」ともいわれます。

また、前述のように、所得税においては103万円を超えたときには、段階的に負担が生じるしくみになっていますが、社会保険料については、130万円以上になると一気に負担が発生するため、主婦にとって大きな壁といえます(注4)。

(注 3)ここでいう年収には交通費も含まれます。また、60歳以上又は障害者の場合は 180万円以上になります。

(注4)例えば、東京都の場合、パート収入が140万円であれば、年間の社会保険料は、概算で健康保険料7万600円((40歳以上の場合は8万2,760円)、厚生年金保険料は12万3,720円くらいになります。

3 パートの収入と所得税、住民税、配偶者控除等、社会保険の扶養の関係

収入と所得税、配偶者控除、社会保険料の負担の関係を一覧表にまとめると図表3のようになります。

図表3 パート収入のみの場合の所得税、住民税、配偶者控除等、社会保険料負担の関係
パート収入 パートで働く主婦の税金 夫の配偶者控除の適用 パート本人(妻)の社会保険料の負担(注6)
所得税 住民税(注5) 配偶者控除 配偶者特別控除
所得割 均等割
100万円以下 非課税 非課税 課税or非課税
100万円超 103万円以下 非課税 課税
103万円超 130万円未満 課税 課税
130万円以上 141万円未満 課税 課税
141万円以上 課税 課税

(注5)103万円以下でも住民税が課税される

年収が103万円以下であっても、100万円を超えると住民税がかかります。

住民税には、所得金額に対して課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず、均等額を負担する「均等割」があります。一般に、年収100万円以下で、ほかに収入がなければ住民税は非課税ですが、自治体によっては、年収93万円や96万5千円を超えると住民税のうち均等割が課税されるところもあります。

所得割:標準税率10%(都道府県民税4%、市町村民税6%)

均等割:年額5,000円(都道府県民税1,500円、市町村民税3,500円)。一部自治体は税額が異なる。

(注6)所定労働時間によっては、収入に関係なく、社会保険に加入しなければなりません。

変動損益計算書を活用しよう

経営において、月次決算を行うことが不可欠です。月次決算の数値から業績をつかむには変動損益計算書が有効です。

毎月の業績は変動損益計算書からつかむ

所長 月次決算がきちんとできるようになりましたね。

畑楽 月次決算はできるようになったのですが、出てきた数値を見ても、何を、どう見て、どのように判断すればいいのかがよくわからないのです。

所長 月次決算で業績をつかむには、変動損益計算書を活用するとわかりやすいですよ。

畑楽 変動損益計算書とは、どのようなものですか。詳しく教えてください。

損益計算書と変動損益計算書の違い

通常、損益計算書は、まず売上から売上原価を引いて売上総利益を算出し、さらに販管費などの経費を引いて、経常利益を算出します(図表2・①)。

これに対して、変動損益計算書では、原価や経費などすべての費用を、材料費のように売上の増減に伴って増減する変動費と、人件費、家賃のように売上の増減に関係なく発生する固定費に分けます(図表1)。

図表1変動費と固定費
変動費 売上の増減に伴って増減する費用
(例)材料費、商品仕入高、外注費、工場消耗品費など
固定費 売上の増減に関係なく発生する費用
(例)従業員給与、時代家賃、支払利息、減価償却費など

そして、売上高から変動費を引いて限界利益を算出し、さらに固定費を引いて経常利益を算出します(図表2・②)。

また、売上高に占める限界利益の割合を限界利益率(限界利益÷売上高)といいます。

変動損益計算書は業績判断に役立つ

畑楽 業績を判断するのに変動損益計算書が良いのはどうしてですが。

所長 変動損益計算書は、売上の増減に比例して限界利益が増減するため、損益計算書よりも業績を判断しやすいのです。

例えば、売上が20%増えれば、比例して限界利益も20%増加するため、「売上の増減によって限界利益がどれだけ増減するのか」をすぐにつかむことができます。ところが、通常の損益計算書では、売上原価に固定費が含まれるため、売上総利益が売上に比例しないのです。

畑楽 売上の変化に伴う利益の変化がすぐにつかめると助かります。

所長 また売上高をさらに「単価×数量」の式に分解すれば、「いくら売らなければならないのか(金額ベース)や「いくつ売らなければならないのか(数量ベース)といった検討もできるようになります。

1人探用するには、どれだけ売ればいいのか

畑楽 変動損益計算書を、どのように活用すればいいのですか。

所長 そば屋さんを例にしてわかりやすく説明しましょう(資料)。

ある、そば屋さんが忙しくなってきたため、アルバイトを月10万円で1人雇うかどうか検討しています。

この場合、1杯500円のそばを、あと何杯売れば、アルバイトの給料分の利益を稼ぐことができると思いますか。

畑楽 え~と、10万円÷1杯500円として、200杯ですか……。

所長 正解は500杯です。これは、l0万円を1杯当たりの限界利益200円(売上@ 500円-変動費@300円)で、割って求めることができます。

畑楽 なるほど……。これから変動損益計算書を注意して見るようにします。

損益計算書と変動損益計算書の違い

図表2 損益計算書と変動損益計算書の違い

小規模企業共済制度(経営者のための退職金)

小規模企業共済制度は、小規模企業の役員が退職したり、個人事業をやめたりした場合などに備えてその生活資金等をあらかじめ積み立てておく、経営者等のための退職金積立制度です。

小規模企業共済制度の特色:掛金は全額所得控除できる

(1)加入対象は一定の従業員数以下の個人事業主及びその共同経営者、会社等の役員

加入できるのは、常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業〈宿泊業、娯楽業を除く〉は5人以下)の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員です。

(2)掛金全額を所得控除できる

掛金月額は1,000円から70,000円までの範囲で500円刻みで自由に選べます。この掛金は税法上、掛金全額を契約者個人の所得から控除でき節税できます。

・一括して受け取られる共済金は退職所得扱い

・10年または15年で受け取られる分割共済金は公的年金などと同様の雑所得扱い

・掛金月額は一定の手続で増額・減額が可能

設例
課税所得800万円で掛金月額70,000円の場合、281,200円の節税となります(図表1)。

図表1 小規模企業共済制度加入による節税額の例
所得金額と掛金月額 加入前の税金 加入後の税金 加入による節税額
課税所得400万円の人が掛金3万円で加入 785,300円 675,800円 109,500円
課税所得800万円の人が掛金7万円で加入 2,034,200円 1,753,000円 281,200円
課税所得1千万円の人が掛金7万円で加入 2,806,000円 2,439,000 367,000円

「小規模企業共済制度」パンフ(中小機構)より

※税額は、平成 26年6月1日現在の税率に基づき、所得税は復興特別所得税を含めて計算しています。住民税均等割は5,000円(復興増税含む)としています。上記はあくまでも一例です。

(3)掛金は前納でき割引がある

掛金は前納できます。そして前納月数が12か月以内であれば、掛金全額を前納した年分の所得控除額とすることができます。

また掛金を前納した場合には割引があり、前納掛金に対して一定割合の前納減額金を受け取ることができます。

例えば今年の 12月に小規模企業共済に加入し、同時に来年11月までの12か月分の掛金を前納することは可能で、その掛金全額を今年分の所得から控除できます。さらに前納減額金も受け取れます。

(4)その他

共済金の受取は、「一括受取」・「分割受取」及び「一括受取と分割受取の併用」(分割受取を利用の場合一定の要件あり)が可能です。

また、加入者には低利の貸付制度(担保、保証人不要)があります。

残業代をめぐる2つの動向

安倍内閣は、時間の長さではなく仕事の成果で評価する、「残業代ゼロ」の対象を広げる「新たな労働時間制度」の創設を閣議決定しました。残業の中味を問うこうした動きの一方で、あらかじめ一定額を決めておく固定残業代の運用を厳格化する判決が出されており、こちらにも注目する必要があります。

1 「残業代ゼ口」制度の拡大を検討

労働基準法では、1日の労働時間を原則として8時間と定め、残業や休日の労働には、割増の賃金を支払うことを義務づけています。しかし、この適用外として、労働時間にかかわらず、「残業代ゼロ」の定額の賃金が、経営者とー体の立場にある「管理監督者」(たとえば部長職にある者)などに認められています。

「新たな労働時間制度」は、この「残業代ゼロ」が適用できる社員の対象を広げる内容となっています。具体的には、一定の年収要件(例えば1,000万円以上)を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を持つ者を対象に労働時間と賃金のリンクを切り離すことを検討するとしています。

2 固定残業代をめぐる最近の判決

(1)固定残業代とは?

固定残業代は、実際の残業時間の有無や時間数にかかわらず、一定時間数の残業代を毎月定額で支給する方法で、残業代を計算する手間が省けるうえ、人件費の総額が把握しやすいというメリットがあります。

ただし、この制度の導入にあたっては、固定残業代の取扱いについての規定を就業規則や雇用契約書などに明示しなければなりません。その場合、「営業手当」「 特殊手当」など、残業代とわかりにくい名称ではなく、残業代とわかるように明示する必要があります。

具体的には、固定残業代に該当する賃金項目(例:残業手当、みなし残業手当)、それが残業代に相当する旨、その金額とそこに含まれる残業時間をきちんと記載しなければなりません(例:固定残業手当2万5千円〈残業20時間分〉)。

(2)最近の裁判の傾向

固定残業代を巡る最近の裁判では、実際の残業時間に基づいて計算した賃金が、固定残業代を上回る場合には、その不足分を追加支給する必要があるとしたうえで、追加支給されていない場合には、固定残業代そのものの有効性が否定される可能性があります。就業規則等の整備とともに、その運用状況を踏まえた総合的な判断が行われているようです。

レジ現金の取扱いがおろそかになっていませんか?

小売業などの現金商売では、日々、レジ現金の出し入れが頻繁に行われるため、つい現金の取扱いがルーズになりがちです。レジの現金管理の基本が守られているか確認しましょう。

レジの現金管理の基本

レジの中にある現金は、以下のようにして管理しましょう。

レジの現金管理の基本1

レジの現金は売上代金と釣り銭の支払いに限定する

レジの現金は、お客様からいただく代金の入金とお客様への釣り銭の支払いに限定し、それ以外はレジから出し入れしないようにします。少額の経費の精算などは、レジのお金ではなく金庫内の小口現金で行います。

レジの現金管理の基本2

毎日の開店前は、釣り銭だけを入れておくようにする

開店前は、レジの中にはあらかじめ金額・金種を設定した釣り銭だけを入れておき、余分なお金は入れないようにします。

レジの現金管理の基本3

毎日の閉店後は入金額を確認する

閉店後は、実際の現金残高とレジの入金額が合っているか確認します。合っていない場合は、原因を解明します。

レジの現金管理の基本4

売上代金は、専用の預金口座をつくって全額預け入れる

閉店後のレジ内の現金は、翌日の釣り銭を残し、原則、毎日ATMや夜間金庫で預金口座に預け入れるようにします。なおこの場合の預金口座を売上代金の預入専用にしておくと営業日ごとの売上が通帳等でも把握できます。

このほかに自社独自の管理方法があると思いますが、その実施がきちんとなされているかどうかを確認しましょう 。

レジの現金管理のチェックリスト

  1. レジの中の現金は金種ごとに分けて、常に整理しているか。
  2. 早番と遅番が引継ぎを行うときは、双方立ち会いの下でレジの現金を確認しているか。
  3. 閉店後などにレジの金額を確認するときは2人以上で行っているか。
  4. 特に現金売上が多額な場合、2人以上で預け入れに行くようにしているか。
  5. 社長(または店長など)は定期的にレジの現金管理をチェックし、ルーズな部分があれば厳しく指導しているか。
  6. 自社独自の管理方法が実施されているかチ工ツクしたか。

月次決算を定着させよう

毎月の業績を正しくつかみましょう

企業が、毎月の業績を正しくつかんで、経営に役立たせるためには、月次決算が不可欠ですが、月次決算が定着している中小企業は多くありません。しかし、金融機関が融資にあたって、正しい計算書類やこれに基づく経営計画を求める時代になりつつある現在、中小企業には、これまで以上に月次決算体制を確立することが求められています。

(1)未払いの経費などを月末に計上する

現金主義では、広告宣伝費などの販売費や、一般管理費(家賃、リース料、電話料、水道光熱費、社会保険料など)は、実際に支払った月の経費に計上されています。

しかし、通常、発生した月と実際に支払う月にズレが生じるために、月次の損益に影響を与える経費等もあります。そのような経費等については、請求書や納品書、契約書などをもとに未払金や未払費用として、発生した月に計上します。

(2)年払いの経費などを月割計上する

労働保険料や固定資産税、損害保険料など年払いや特定の月にまとめて支払う経費や賞与の中には、特定月の経費が多額に計上されることで月次の損益に影響するものもあります。

このような経費を月割計上(賞与は年間の見積額を月割計上)することで、発生額が平準化され、労働保険料の支払月や賞与支給月に費用負担が集中し、月次の損益が大きく変わるといったことを回避することができます。

(3)毎月、在庫を計上する

月初、月末の在庫を計上することで、毎月の売上原価と粗利益をつかむことができます。正確な月末の在庫を把握するには、毎月、実地棚卸を行うことが理想ですが、なかなか容易でないと思います。

そのため、予定原価率を用いて概算計上したり、棚卸の対象とする商品を毎月変えたり、金額の大きい商品に絞るなどの方法もあります。

(4)減価償却費を月次で計上する

機械装置や車両、建物などの減価償却費は、期末に計上しますが、年間の見積額をもとに12分の1づつ、毎月、月割計上します。

これによって、減価償却費の計上を平準化して、毎月の業績に反映させることができます。

月次決算のステップ・バイ・ステップ

会計処理の基本

  1. 毎日の現金残高合わせができていますか。
  2. 帳簿への記帳(入力)が適時・正確にできていますか。
  3. 証憑書類の整理保存がきちんとできていますか。

発生主義による月次決算

  1. 売上を出荷、相手方への納品時に計上し、仕入を入庫時に計上できていますか。
  2. 毎月の在庫を実地棚卸や概算計上等の方法で把握し、月次の売上原価、粗利益 (限界利益)を把握できていますか。
  3. 販売費や一般管理費を月次で計上できていますか。
  4. 減価償却費の月割計上ができていますか。
  5. 固定資産税や労働保険料などまとめて支払う費用を月割で計上できていますか。
  6. 売掛金や買掛金の残高管理を行い、請求漏れや入金遅れ、二重請求ミスなどの防止や、資金繰りに活用できていますか。
  7. 在庫管理を行い、誤発注、誤納品、滞留在庫、紛失・盗難、在庫切れの防止などに活用できていますか。

誤りの多いリース取引、返品等の消費税の処理

消費税率引上げ後6か月が経ちました。消費税の処理ではリース取引や返品等において間違いが多くありましたが、消費税の価格転嫁については、「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」(日本商工会議所・平成26年7月2日公表)によると、62.7%の事業者が全て「転嫁できている」と回答し、前回の引き上げ時より大幅に改善しました。来年10月には消費税率アップが予定されていますので、処理について確認しておきましよう。

1 リース取引における誤り

事例1

A社はコピー機や車両をリース(オベレーティング・リース取引)により賃借しているが、コピー機は経過措置の適用対象で、車両は経過措置の適用対象外のため(図表1)、施行日(平成26年4月1日)以後、消費税率を5%と8%に区分する必要があったが、経過措置適用のコピー機のリース料についても8%で処理していた。

オペレーティング・リース取引の経過措置の適用と不適用による消費税率の違い、及びファイナンス・リース取引の消費税率

リース取引の消費税率の違い

〔解説〕

コピー機については経過措置適用のオペレーティング・リース取引なので、4月以後のリース料は5%で処理しなければなりません。車両については経過措置不適用なので、図表1のように平成26年3月31日までのリース料は5%、同年4月1日以後のリース料は8%となります。

※オペレーティング・リース取引とは、残価査定額がリース料から控除されるなどファイナンス・リース取引以外のリース取引をいいます。このリース取引の場合、指定日(平成25年10月1日)前に契約し、一定の要件を満たせば経過措置の適用を受け、施行日(平成26年4月1日)以後も消費税率は5%となります。

事例2

B社は会社の営業車3台をリースにより賃借していたが、そのリース取引が経過措置の適用を受けないオペレーティング・リース取引にもかかわらずファイナンス・リース取引と認識して、施行日以後のリース料も消費税率5%で処理していた。

〔解説〕

営業車3台のリース取引は経過措置不適用のオペレーティング・リース取引なので、施行日以後のリース料は8%で処理しなければなりませんでした。

この事例では、リース契約の内容をよく確認しておくことが必要でした。

※ファイナンス・りース取引は、原則的には売買取引とされ、図表2のようにリース資産の引渡時点の消費税率が適用されます。特例的に認められている支払いのたびにリース料を費用計上する場合でも、リース資産の引渡時点の消費税率が適用されます。

2 返品・値引などの際の誤り

事例3

卸売業の C社は、平成26年3月10日に商品Eを得意先に販売・納品したが、4月に入ってその得意先から返品の要請があり、今後の取引もあることなので4月20日に返品を受け消費税率8%で処理した。

〔解説〕

図表3のように、商品Eついては経過措置により消費税率5%で返品処理しなければなりません。というのも、施行目前に売上計上した商品等が施行日以後に返品となった場合、売上げを計上した時点の消費税率で返品処理することになるからです。

事例4

製造業のD杜は、平成26年2月に受注し製品を3月に納品して売上も計上したが、後日、注文数に食い違いが生じクレームとなった。結局、値引きすることで決着したが、対応に手間取り値引処理が4月になったので消費税率8%で処理した。

〔解説〕

この場合の値引処理は、経過措置により消費税率5%で行わなければなりません。というのも、施行日前に売上計上した商品等については、売上計上した時点の消費税率で値引処理することになるからです。

平成26年に販売した商品が平成26年4月に返品になった際の消費税処理

平成26年に販売した商品が平成26年4月に返品になった際の消費税処理

消費税の処理の間違い防止に向けたチェックリスト

①施行日をまたぐ取引について税率に誤りはないか請求書をよく確認しているか。

※消費税の仕入税額控除の請求書等の記載要件と同時に消費税率等についてもチェックします。

②返品や値引などで、税率に誤りがないよう返品等の商品等の販売(仕入)時点在などを確認した上で処理しているか。

③リース取引についてはその契約の内容を確認しているか。

※リース契約書等で、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引か、経過措置が適用されているかなど確認が必要です。

④クレジットカードの請求書がある場合、領収書、利用明細票等により各取引の消費税率を確認しているか。

※旧税率(5%)が混在している場合があります