Author Archives: 梅本会計事務所

住宅ローン減税拡充で個人に配慮

住宅ローン減税拡充で個人に配慮

改正のポイント

これまでの大幅な累進税率緩和による所得再分配機能の低下、消費税率の引き上げなどを受けて改正が行われます。

(1)所得税の最高税率の引き上げ
現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4,000万円超について45%の税率が設けられます。

適用:平成27年分以後の所得税について適用されます。
 

(2)住宅ロンー減税の延長と控除額の拡充
消費税引き上げに伴う対応の一環として、住宅ローン減税の延長と拡充が図られます。

①適用期限の延長

改正前
平成25年12月31日まで→4年延長→改正後平成29年12月31日まで

②控除額の拡充

次の3段階により控除の拡充が図られます。

1・所得税の控除額の拡充→図表6のとおり。
2・step1の控除しきれない部分を個人住民税から控除する措置控除限度額を所得税の課税総所得金額等の7%(最高13.65万円)に拡充。
3・給付措置→step1,step2で控除しきれない金額

交際費課税の改正とよくある間違い

交際費のよくある間違い

得意先の接待

取引先をを接待するための飲食費は、たしか1人当たり5,000円以下であれば、交際費にならないと聞きました。先日、取引先をレストランで接待した際、飲食費の合計4人で28,000円(1人当たり5,000円×4人)分だけは交際費にならないですか?

1人当たりの金額が5,000円を1円でも超えると、その全額が交際費になります。

解説
「1人当たり5,000円」以下とは、あくまでも飲食費になるか、交際費になるかどうかを判断する際の基準であって、支払額から1人当たり5,000円が控除されるわけではありません。
また、消費税の取り扱いは、自社の消費税処理が税込処理であれば税込で計算し、税抜き処理であれば税抜きで計算します。

ゴルフ接待

得意先を招待したゴルフこんぺいを開催しました。プレー代は交際費としても、昼食や表彰式を兼ねた懇親会の飲食費は、1人当たり5,000円以下に収めました。この飲食費や、ゴルフ場までの交通費は、経費として問題ないでしょうか?

ゴルフコンペにかかった費用は、すべて交際費になります。

解説
コルフコンぺの際の飲食等は、コンペの開催という一連の行為の一つとして行われるもめですから、その費用の全額が交際費になります。したがって、ゴルフコンペの費用から、飲食費、交通費を抜き出して経費にすることはできません。
なお、コンペの日程が終了し、解散後に一部の取引先を誘って飲食等をした場合の費用は、1人当たり5,000円以下であれば交際費から除く(経費にする)ことができます。

展示会への招待

工業見本市で新製品の発表・展示を行うことになり得意先を招待する予定です。
会場が遠方にあるため、得意先の交通費、食事代、宿泊費を当社で負担することにしました。これらの費用は交際費になりますか?

通常は、交際費にはなりません。

解説
自社製品の展示会に得意先を招待するための一連の費用負担は、接待が目的ではなく、取引を進めるうえで必要な行為といえるため、通常必要とする範囲内であれば、販売促進のための費用として、交際費にはなりません。

雇用喚起の減税などで企業を支援

雇用喚起の減税などで企業を支援
改正のポイント

国内の設備投資や個人所得の拡大を図り、消費需要の回復を通して経済成長を達成するため、企業関連では減税中心の税制改正がなされます。

(1)中小企業の交際費を800万円まで全額損金算入できる

交際費等の損金不算入制度における中小法人の損金算入の特例が下記のとおり見直されます。これにより、中小企業の支出交際費は年800万円までは法人税がかかりません。(図表1参照)
適用:平成25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

図表1

(2)従業員数を増加させた場合の減税限度額を40万円に拡大

従業員数を増加させた場合、その増加人数に応じて法人税額から控除できる雇用促進税制について、その税額控除限度額が以下のように引き上げられるなどの措置が講じられます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)
※次項(3)の給与を増加させた場合の減税制度との選択適用となります。

適用:平成25年4月1日から同26年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

増加雇用者数1人当たりの税額控除限度額
改正前20万円→改正後40万円

(3)給与を増加させた場合の減税制度(所得拡大促進税制)を創設

青色申告書を提出する法人が、国内従業員に給与等を支給する場合に、給与等の支給額を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除できます。(所得税も同様。地方税は中小企業者等について同様)

要件
・給与等支給総額が基準事業年度より5%以上増加していること。
*「基準事業年度」とは、平成25年4月1日以後開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。
・給与等支給総額及び平均給与等支給額が前事業年度を下回らないこと。

減税額
税額控除額=給与等支給増加額×10%
*ただし、当期法人税額の20%(中小企業者等以外は10%)を限度とされます。

※前項(2)の雇用促進税制などとの選択適用となります。
適用:平成25年4月1日から同28年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

図表2

会社と社長との動産の貸し借りに注意!

会社と社長との動産の貸し借りに注意!

中小企業では、会社と社長個人の間で、住宅や事務所などの不動産を貸し借りしているケースがよくあります。このような場合、税務調査でよく家賃について指摘されることがあるので、注意が必要です。

所長
多望社長のお住まいは、会社の所有になっていますね。会社と社長との間で、不動産の賃貸借契約書を交わしておられますか。

多望
私の会社が所有している場合でも、賃貸借契約書が必要なのですか。

所長
法律上、会社と社長は、別個の存在ですから、会社と役員との取引になります。税務調査では、会社と役員とが行った取引については、契約書や議事録の有無などが確認されますよ。

多望
ところで、税務上、家賃はどうすればいいのですか。

所長
会社が社長に社宅として住宅を貸しているわけですから、この場合は、税務上の家賃の基準があります。それに基づいた一定額の家賃であれば問題はありません。

多望
反対に、私の個人所有の不動産を事務所として会社に賃貸しているのですが、税務上どうなるのでしょうか。

所長
この場合も、賃貸借契約書が必要です。家賃が世間相場より高すぎることがないかなどをチェックする必要があります。

社長が会社から住宅を借りる場合

会社が所有している住宅を、社長が借りる場合、税務上は、役員社宅の家賃として、住宅の規模に応じた適正な家賃の基準(注1)があります。
社長が会社に支払う家賃が、税務上の適正な家賃と比べて、低すぎたり、あるいは無償の場合には、適正な家賃と実際に支払っている家賃との差額が社長への給与とされ、所得税が課税されます。(図表1・3)

社宅以外に、例えば、店舗用の建物を社長が会社から借りるような場合には、その物件の周辺相場(以下、時価)と比べて家賃が適正かどうかが問題になります。時価よりも低ければ、社長への給与とされます。

(注1)社宅家賃についての税務上の基準

社長、役員に対して社宅を貸す場合、1か月当たり一定額の家賃を受け取っていれば、給与として課税されません。この場合の家賃は、床面積などによって小規模の住宅、小規模以外の住宅、豪華な住宅などに分けて計算されます。具体的な計算方法については、国税庁HP・タックスアンサー「No.2600役員に社宅などを貸したとき」が参考になります。
(http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2600.htm)

復興特別法人税の実務上の注意点

復興特別法人税の実務上の注意点

多望社長は、東日本大震災からの復興支援の財源を確保するため復興特別法人税の納税が始まると知り、顧問会計事務所の所長に詳しい内容を聞きました。

多望
復興特別法人税は、いつからかかるのでしょうか。
所長
御社は、3月決算ですから、平成25年3月期の決算から申告・納税になります。
多望
今度の決算なんですね。そうすると、今期は増税になるのですか。
所長
いいえ、復興特別法人税はかかりますが平成25年3月からは、通常の法人税が減税になるため、トータルでは若干の減税になると思います。
多望
それは良かった。ところで、申告・納税はどうすればいいんでしょう。
所長
法人税の申告・納税時期と同じですが、法人税の申告書とは別に復興特別法人税の申告書を提出し、納税も別々にします。

3月決算法人は、平成25年3月期の決算申告から納税

復興特別法人税は、平成25年4月1日以後に最初に開始する事業年度から、原則として3年間にわたって課税されます。
3月末決算の企業であれば、平成25年3月期の決算申告からとなります。

税率は一律10%

税額は、通常の法人税額に対して一律10%の税率をかけて計算します。(図表2)
赤字申告や欠損金の繰越控除などによって法人税額も発生しません。
また、支払った復興特別法人税額を経費にすることはできません。

通常の法人税の申告書と復興特別法人申告書の提出が必要

復興特別法人税の申告・納税は、法人税の申告・納税と同じ時期に行います。
ただし、法人税の申告書とは別に、復興特別法人税の申告書の提出が必要です。中間申告は必要ありません。
なお、法人税の申告期限を延長している場合は、復興特別法人税も自動的に延長されます。電子申告による提出も可能です。

企業が受け取った預貯金の利子等に係る復興特別所得税は、還付が受けられる。

平成25年1月1日以後に受け取る預貯金の利子や配当金などには、源泉所得税の他に復興特別所得税が課せられています。
会社が受け取る預貯金の利子等にかかった復興特別所得税額は、発生した復興特別法人税額から控除することができます。
復興特別法人税額が発生しない場合でも、申告することによって、預貯金の利子等にかかった復興特別所得税額の還付を受けることができます。(図表3)

復興特別法人税額が発生しない場合でも、申告書を提出しておきましょう!

赤字申告の場合には、法人税額が0円となり、復興特別法人税額が発生しないため、復興特別法人税の申告書を提出する必要はありません。
しかし、後日、税務調査等によって黒字申告となり法人税額が発生した場合には、復興特別法人税額も発生してしまうため、復興特別法人税について無申告加算税(15%または20%)が課税されてしましぃます。
そのため、復興特別法人税額や、復興特別所得税額の還付金生じない場合でも、念のため申告書を期限内に提出しておくとよいでしょう。
これによって、無申告加算税ではなく、過少申告加算税(10%または15%)になるため、加算税うぃ軽減することができます。(図表4)

所得税の確定申告

所得税の確定申告

保険金など一時所得の申告漏れに注意しましょう!

所得税の一時所得とは?

所得税の確定申告が近づいてきました。個人事業者や不動産賃貸収入、資産の運用による収入などがある人は、確定申告をしなければなどのように、労働や資産の運用などによらずに得た一時的な所得についても、確定申告が必要なものがあります。(図表1)

このような一時的な所得を、所得税では「一時所得」といいますが、申告漏れが多い所得のようです。特に、サラリーマンなど給与所得の人で、例年、年末調整のみで確認申告が不要となる人は注意しましょう。

一時所得は、収入(例えば満期保険金)から、その収入を得るために支払った金額(生命保険料など)を差し引き、さらに特別控除額(最高50万円まで)を控除して計算します。

一時所得の計算式

一時所得=収入金額-その収入を得るために支払った金額-特別控除額(最高50万円)

計算した一時所得の2分の1の金額が課税所得となり、他の所得と合算して所得税額を求めます(源泉徴収「源泉分離課税」されるものを除く)。

図面1

所得税の確定申告が必要なもの
生命保険の一時金
損害保険の満期返戻金
懸賞や福引などの賞金品、当せん金品
競馬の馬券や競輪の車券の払戻金
借家人が収入する立退き料
ストックオプション契約により株式を取得する権利を行使した場合など

生命保険の満期保険金の課税所得税の計算例

満期保険金の金額:500万円
払い込んだ保険料の累計:430万円
課税所得:(500万円-430万円-50万円)x1/2=10万円

生命保険の保険金を受け取ったときは注意!

生命保険金を受け取った場合、保険金負担者や受取人が誰なのかによって、かかる税金の種類が異なります。
例えば、保険金の負担と保険金の受取人が同じ場合は、所得税がかかります。

図面2
生命保険契約の形態による課税の例

生命保険契約の形態による課税の例
種類 保険料負担者 被保険者 受取人 課税
満期保険金 夫又は妻 所得税
夫又は妻 贈与税
死亡保険金 相続税
所得税
贈与税

 

また、生命保険会社等は、個人に生命保険金等を支払った際、税務署に支払調書(支払報告書)を提出することになっており、税務署は個人の確定申告と支払調書を突き合わせることで、申告漏れがないをきちんとチェックしていますので、申告漏れにはきをつけましょう。

所得税の確定申告の必要がないもの

親族などからの贈与によって受け取った金品や不動産(別途、贈与税の確定申告が必要)
病気やけがで入院したことにより受け取った入院給付金や所得補償保険金
地震や火災、事故などにより資産に生じた損害に基因して収入した損害保険金
香典や見舞金
出産育児一時金
宝くじの当せん金など

償却資産(固定資産税)の申告漏れに注意2.

償却資産(固定資産税)の申告漏れに注意2.

資産を取得したり、処分した場合は?

処分した償却資産がある場合には、その資産をすでに所有していないことを申告しない限り、毎年、償却資産税が課税されてしまいます。償却資産台帳と現品とを照合するなどして、その資産が実際に存在しているかどうかを確認しましょう。

使用していない資産などがある場合は、廃棄などを検討しましょう。

償却資産を新たに取得したり、売却や処分した場合には、その事実がわかる書類等を必ず保存しておきましょう。(図表2)

いつまでに申告するの?

償却資産は、毎年1月31日までに、事業者が資産の所在する市区町村ごとに「償却資産の申告書」を提出します(東京23区の場合は各都税事務所)。

また、2つ以上の市区町村に営業所、倉庫、工場などを所有している会社は、それぞれの市区町村に申告書を提出することになります。そのため、償却資産がある場所をよく確認する必要があります。

なお、償却資産にかかる固定資産税については、毎年、各市区町村が納付する固定資産税額を決定し、納税者に対して「固定資産税の納税通知書」を6月上旬頃に郵送します。

税率や免税点は?

償却資産税の税率は、1.4%です(原則)。ただし、課税標準額(注2)が150万円未満であれば、償却資産税はかかりません。

課税標準額の判定は市町村・特別区・指定都市の区ごとに行われるため、異なる市区町村にある営業所間において償却資産の移動があった場合にはその事実をきちんと把握しておきましょう。

(注2)償却資産の取得年月、取得価額及び耐用年数に基づき、申告した資産一品ごとに現在の評価額を算出し、その個々の資産の「評価額」を合計した額が、原則として課税標準額になります。

償却資産(固定資産税)の申告漏れに注意1.

償却資産(固定資産税)の申告漏れに注意

1月31日は、償却資産(固定資産税)の申告期限鷲す。普段、あまり馴染みのない税金のため、申告の漏れや間違いがよく見受けられますので、注意しましょう。

償却資産にかかる税金とは?

会社や個人事業者が事業のために使用する機械、車両運搬具、器具備品、構築物などの減価償却資産には、固定資産税がかかります。

償却資産にかかる税金であることから、実務では、一般に「償却資産税」と呼んでいます。

どんなものが償却資産になるの?

課税対象となる償却資産とは、その年の1月1日現在に所有している事業に使われる減価償却資産が該当します。(図表1)

これらの資産にかかる改良費なども含まれますので注意が必要です(注1)。

(注1)10万円未満の少額な減価償却資産など地方税法上の「少額資産」にあたるものや自動車税等の対象となる自動車、無形のソフトウエアなどは該当しません。

申告漏れの多い償却資産の例は?

申告漏れがよく見受けられる償却資産には、次のようなものがあります。

  • 減価償却が終了した資産や、遊休・未稼働の資産で、事業に使用できる状態にあるもの
  • エアコン、変電設備、屋外照明設備、屋外給排水配管等の建物に付属した設備
  • アスファルト舗装路面、外構、フェンス、緑化施設等の構築物
  • 取得価額30万円未満の資産で、租税特別措置法第28条の2、第67条の5の規定(中小企業特例)によって全額損金算入したもの
  • 決算日以後、1月1日までの間に新たに取得した資産
  • 減価償却資産にかかる改良費等々

年末調整

年末調整一平成24年中に加入・変更等がある場合の生命保険料控除に注意!

平成24年1月1日以降に加入の保険契約より、「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」に加え、入院・通院等にともなう給付部分にかかる保険料に対して、新たに「介護医療保険料控除」が設けられ、併せて各保険料控除の適用限度額が変わります。そのため、平成24年1月1日より、契約日(更新日・特約付加日)を基準として、「旧制度」「新制度」の2つが並存し、それぞれの制度に応じた生命保険料控除を受けることができます。平成24年中に加入または更新・中途付加等により契約内容を変更した場合は、新制度の対象になりますので、「平成24年分保険料控除申告書」の記事に注意してください。

※旧制度と新制度の双方に契約(加入)している場合の控除額

旧制度と新制度の双方に契約(加入)している場合の新(旧)生命保険料または新(旧)個人年金保険料は、生命保険料、個人年金保険料の別に、次のいずれかを選択して控除額を計算することができます。

  1. 旧制度の契約のみで適用を受ける。 
  2. 新制度の契約のみで適用を受ける。
  3. 旧制度と新制度の両方の契約で適用を受ける(旧制度の各控除額も最高4万円となります)。