Author Archives: 梅本会計事務所

経営状況の把握に役立つ会計

経営状況の把握に役立つ会計

中小会計要領は、①内部統制が整備されていない、会計担当者もゼロか少人数である、②情報の利用者は主に金融機関である、③法人税法を意識した会計処理が行われている、という中小企業の実態を踏まえ、企業の成長に役立つ決算書を作成できるように、次のような考え方で策定されています。

●中小会計要領の考え方

  • 経営者が活用しやすく、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計
  • 会融機関をはじめとする利害関係者への情報提供に役立つ会計
  • 中小企業の実務を考慮し、税制との親和性を図った上で、会社計算規則に準拠した会計
  • 中小企業に過重な負担を課さない会計

また、中小会計要領の特徴の一つとして、経営者が自社の経営状況を適切に把握するため記帳の重要性が強調されています。つまり、記帳がタイムリーに行われることで、その内容に誤りや脱漏がなくなり、その結果である決算書の信頼性が高くなるからです。

財務経営力を高める

これからの中小企業には、中小会計要領を適用しつつ、信頼性の高い決算書を作成し、そこから経営者が自社の経営状況を把握し、経営計画を作成するとともに、金融機関等の利害関係者への財務状況や資金繰りの状況に 関する説明能力である財務経営力を向上させることが求められます。

そのため、会計事務所から決算説明や経営助言などを受けながら、社長自らが金融機関等に経営を語れる能力を身につけましょう。

●融資も有利に!

4月から、日本政策金融公庫において、中小会計要領を適用した場合に金利を優遇する「中小企業会計関連融資制度」がすでに始まっています。このような動きは、他の金融機関にも広がっていくと思われます。

 

「中小会計要領」つてなに?

「中小会計要領」つてなに?

平成24年2月1日に、中小企業の会計ルールである「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)が公表されました。この「中小会計要領」は、大企業と違って、国際会計基準などと連動して変更打する必要のない国内中小企業のための会計ルールです。中小企業はこれを踏まえて経営を強化することが求められています。

これまでの会計実務と変わらない

所長:
「中小会計要領」という新しい会計ルールができました。

社長:
難しそうなお話ですね。

所長:
これまで中小企業の会計実務の中で慣習として行われてきた会計処理を、いわばルール化・文書化したもので、決して難しいものではないんですよ。

社長:
会計の話ならば、あとは先生にお任せします。

所長:
いえ、社長。経営に関係があるんです。中小会計要領は御社の「財務経営力」を高めるために大変重要なんです。

社長:
「財務経営力」というのは何ですか。

所長:
社長ご自身が会計等の数値をもとに自社の現状や方向性を金融機関等に語れる力といっていいでしょう。

社長:
なるほど。最近、金融機関から業績の説明を求められているんです。もう少し詳しく教えていただけますか。

どうして策定されたのか

中小会計要領が策定された背景には、今後の中小企業政策の方向性が関係しています。

平成23年12月に、中小企業庁の中小企業政策審議会・企業力強化部会が「グローバル競争下における今後の中小企業政策のあり方」を公表しました。この中で、人口減少・少子高齢化等による国内需要の減少、アジアをはじめとした新興国との競争激化や、国内大企業の海外移転などといった厳しい内外環境を勝ち抜く「自立的な中小企業」 の確立を目指すとしています。
(図表1)

そのためには、中小企業の戦略的経営力(注1)を強化する必要があり、今後、わが国の中小企業政策は、戦略的経営力を強化する方向に舵が切られることになります。

(注1)戦略的経営力とは

  • 財務経営力(経営状況を把握し、経営計画を立案する能力)
  • 資金の確保・調達力
  • 成長のための知恵・矢口識・ノウハウ
  • 国際競争に耐えうる技術力・人材

とりわけ、中小企業に共通する財務経営力と資金の確保・調達力を強化するため、以下の施策を掲げています。

  1. 経営支援の担い手の多様化・活性化(中小企業経営力強化支援法として成立)
  2. 経営と金融の一体的支援
  3. 財務経営力の強化

特に、(財務経営力を強化)するには、どうしても一定のルールが必要であり、そのため中小会計要領が公表されたのです。

「中小企業経営力強化支援法」とは

「中小企業経営力強化支援法」とは

「中小企業経営力強化支援法」が今年8月30日に施行されたと聞きました。どんな内容の法律か教えてください。(機械部品製造)

中小企業経営力強化支援法のポイントは、中小企業の経営力の強化を図るために次の2点を進めることにあります。

中小企業経営力強化支援法のポイント図

中小企業経営力強化支援法のポイント図

①中小企業支援事業の担い手の多様化・活性化

②海外展開に伴う資金調達支援

①には、より高度で専門的な経営支援を担う人たち、つまり金融機関や税理士(税理士法人)等のプロフェッショナルを取り込んで、今まで以上に充実した経営支援を実現しようという狙いがあります。従来、商工会や商工会議所などの「既存の中小企業支援者」は各地域できめ細かい経営支援を行ってきました。しかし、中小企業の経営課題が多様化・複雑化するなかで、これまでの経営支援機問だけでは十分な対応ができないケースも増えています。そうした中で新たな専門家の力を借りながら経営支援を実現することが大きなテーマとなっています。

さらに①に関して言えば、来年3月に期限切れを迎える中小企業金融円滑化法の問題も絡んでいます。企業によっては、今後の成長をきちんと示した経営改善計画を策定し、経営の見える化を実現したうえで、その計画どおりの成長を自ら実現してもらうことが求められます。そのサポートが担える専門家ということで今回、税理士の存在がクローズアップされることになりました。

次に②については、中小企業が海外展開を行うにあたって、海外子会社の資金調達需要が生まれていることが背景としてあります。

これまで親子ローンのかたちで日本から海外の子会社にお金を送るのが一般的でしたが、為替リスクや送金規制などの問題があり、現地の金融機関から資金を調達したいというニーズが高まっています。そこで、「信用力の補完」という観点からの措置などを新たに講ずることにしたわけです。

「チーム」として企業を支援

支援事業の担い手の多様化・活性化をすることは、いわば中小企業に対して「チーム」として専門性の高い支援を行うための体制を整備することです。これにより地域全体における中小企業への支援機能の質がさらに高まり、地域の中小企業に対する支援の輪がいっそう広がることを期待しています。

このチームとしての支援体制の仕組みを示したのが図です。認定を受けた「経営革新等支援機関」が中小企業の経常状況の分析や事業計画策定などの指導・助言を行っていきす。

ちなみに認定支援機関になるための基準には「税務、金融および企業の財務に関する専門的な知識があること」「財務内容等の経常状況の分析等の指導および助言に一定程度の実虜経験があること」「長期かつ継続的に支援業務を実施するための組織体制や事業基盤があること」の三つがあります。

中小企業をとりまく経常環境は厳しさを増しています。生き残りをかけた経常戦略がこれからますます重要になってきますが、その手肋をしてくれる地域のパートナーとして、経常革新等支援機問をうまく活用してもらいたいと思います。

13年度中に施行の「改正労働契約法」とは

13年度中に施行の「改正労働契約法」とは

改正労働契約法が来年度中に施行されると聞いています。運用うえの注意点を教えてください。(飲食店)

労的契約法の改正法がヅ成24年8月10日に公布されました。

今回の改正では、①有期労働契約の無期労働契約への転換②有期労働契約の更新等(「雇い止め法理」の法定化)③期間の定めのあることによる不合理な労的条件の禁正・・・の三つのルールが規定されました。

有期労働契約5年で無期に

有期労働契約というのは、1年契約や6カ月契約など期間の定めのある労働契約のことです。パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託社員などの有期労働契約がその対象となります。

有期労働契約の労働者は、全国に約1200万人おり、その約3割が契約更新により通算5年を超える有期労働契約です。契約終了時において紛争問題がみられ、これを防止するために改正が行われました。

第一の改正点である「無期労働契約へ転換」とは、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換させる仕組みみです。

通算労働契約期間が5年を超え、労働者が無期転換申し込み権を行使した場合、使用者が申し込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が終了する翌日から無期労働契約が成立します。

また、有期労働契約と有期労働契約に空白期間(同一事業主で働いていない期間)が6カ月以上あるときは、空白期間より前の有期労働契約は5年のカウントに含まれません (クーリング)。

なお、別段の定めがない限り、転換後の無期労働契約は従前と同一の労働条件(職務、勤務地、貸金、労働時間など) でなくてはなりません。ただし、労働者との個別合意により別段の定めで変更することは可能です。

第二の 「雇い正め法理」 の法定化とは、使用者が有期労働契約の更新を才拒否したとき、契約満了により雇用契約が終了(雇い正め)しますが、労働者保護の観点から過去の最高裁判例により、一定の場合に無効とする判例 (雇い止め法理)を条文化したものです。

使用者が雇い止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇い正めが認められず、従前と同一条件で、有期労働契約が更新されます。

第三の 「不合理な労働条件の禁止」については、同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との問で、有期であることで不合理に労働条作を相違させることを禁止めするというルールです。

労働条件の相違が不合理かどうかは、①職務内容(業務の内容および責任の程度)②職務内容および配置変更の範囲③その他の事情、を考慮して個々の労働条件ごとに判断されます。

対象となる労働条件は、賃金や労働時間だけでなく、災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など労働者に対する一切の待遇が含まれます。

施行期日は、雇い止め法理の法定化は平成24年8月10日公布の日から、無期労働契約への転換と不合理な労働条件の禁止は、公布日から1年以内の政令で定めるとなっています。

無期転換ルールの5年のカウントは、改止法の施行日以後に開始する有期労働契約が対象となるので注息してください。施行前に開始している有期労働契約は5年のカウントには含まれません。

TKC経営支援セミナー2012

TKC経営支援セミナー2012

-開催のご案内-

中小企業を取り巻く経済環境は未だ厳しい状況となっております。この厳しい経済 環境において企業が存続・発展するためには、「資金繰り対策」「経営改善計画」  「業績管理」及び「経営革新」が益々重要となっております。
そこで当事務所では「決算書で自社を語ろう!」をテーマとし、以下の通り「TKC経営支援セミナー2012」を開催させていただくこととなりました。経営者及び経営幹部のみなさまには、是非ご出席をいただき、どのような環境変化にも対応できる強い会社づくりにご活用いただきたく、ご案内申し上げます。
なお、今回のセミナーでは特別講演と致しまして土屋栄悦先生をお招きし「増税に備える資産活用と防衛法」をテーマにお話もございます。相続対策に興味のある方、是非ご活用ください。

2012年11月10日(土) (新宿マインズタワー21階)
主   催 梅本会計事務所
土屋税理士事務所

【タイムテーブル】  司会:市田裕幸・山田有紀菜

<1> 10:00~10:05 オープニング :梅本 昇 会員

<2> 10:05~10:55【特別講演】
テーマ:「増税に備える資産活用と防衛法」
講  師:土屋 栄悦 会員

<3> 10:55~11:25
テーマ:「めざせ、自立型経営!財務経営力強化で資金調達力を身につけろ!」
(ビデオ講座)

<4> 11:25~11:55
テーマ:「決算書で自社を語ろう!!」 講  師:斎藤・末

<5> 11:55~12:00
クロージング(質疑応答) :梅本 昇 会員

参 加 対 象 者  企業経営者及び経営幹部の方、相続対策をされたい方

参 加 定 員  40名(申込先着順)

参    加    費  無料

参加申込要領  参加申込書にご記入の上、梅本会計事務所(担当:斎藤 春江)
(FAX 03-3565-2228)までお申込ください

申  込  締  切  平成24年11月7日(水)

お問い合わせ

梅本会計事務所 新宿区目白 3-17-40 目白ハイツ202
TEL:03-3565-2227 FAX:03-3565-2228

会 場 案 内

〒151-0053  東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー21F 新宿駅南口より徒歩3分

会 場 案 内

会 場 案 内

TKC経営支援セミナー2012申込書ダウンロード(PDF)

新設されたマッチング拠出制度とは

新設されたマッチング拠出制度とは

確定拠出年金制度(日本版401k)導入を検討しています。1月からスタートしたというマッチング拠出について教えてください。(広告業)

アメリカの401(k)プランにならって日本版401kとも呼ばれる確定地目年金が導入されて10年が経過しました。今では440万人、1万6600社が採用する国内第2位の企業年金制度として普及しています.また採用か業の8割が中小か業というのも人きな特徴で、中堅・中小企業にとって硬いやすい制度です。

確定拠州年金制度の大きな特徴は、会社は毎月の掛け金拠出と制度運営にのみ責任を負えばよく、運用の責任は社員の自己責任に委ねることができるところです。退職金や企業年金の支払い準備は貸金の支払い準備と同等に重要な会社の責任ですが、計画的かつ安定的に支払い準備を行うことは困難が増しています。確定拠出年金は会社にとっても従業員にとっても安定をもたらすことのできる退職給付準備の一方策といえます。

なお会社出拠の掛け金については拠出限度額がありますが(月額5万1000円。他に企業年金を併用する場合は2万5500円)、全額損金算入が認められます。

社員の任意拠出が可能に

日本の確定拠出年金は企業年金制度の一部としてスタートしたため、今まで社員の任意拠出は行えませんでした(社員に自己負担を求め、見かけ上は会社負担掛け金と行政に届け出る事例があるがこれは例外的)。

今回スタートしたマッチング拠出では、規約に定めることで、社員に任意で追加掛け金拠出をさせることができます。ただし2点の拠出制限があり、労使出拠出の合計が前述の拠出限度額を超えないこと、社員の拠出1額が会社の拠出額を超えないことが要件です。

拠出のルールは各社の規約で定めればよく、1000円単位とする、拠出開始や金鶴改定時期を定めるといったことも可能です。また、強制規定ではないので、企業がマッチング拠出を認めない(規約に盛り込まない) ことも可能です。

財形年金と性格的には類似していますが、制度の詳細は大きく異なっていますので注意が必要です。

マッチング拠出の税制については、掛け金が課税所得から全額控除(小規模企業共済等掛金控除)され、運用益は非課税、受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除の対象となるなど、優れたメリットがあります。自分の老後のために所得を積み立てるとこれらの税制メリットが得られるわけですから、社員にとっては人きな福音となるでしょう。

会社にとっても、確定拠出年金制度の枠翁lみを拡大することで、実質的な掛け金負担は行わずとも社員に対する福利厚生を拡充することができます(税制負担は国)。会社が負うコストは給与計算、年末調整等の事務負担増に限られ、採用の妙味があります

注意点としては、確定拠出年金の定めに準じ原則60歳まで解約ができない点です。利用開始時に社員に十分な説明と確認を行うことが望ましいでしょう。

個人の老後資金準備の難しい昨今、全般に魅力の大きい制度で、すでに確定拠出年金を実施している企業はマッチング拠出制度導入のタイミングを検討してみるといいでしょう。またこれから確定拠出年金導入を検討されているようでしたら、マッチング拠出を制度導入と同時にスタートしてみてはいかがでしょうか。

「労働安全衛生法」改正の影響は

「労働安全衛生法」改正の影響は

労働安全衛生法の改正ではメンタル対策が強化されるとききました。(ソフトウエア開発)

近年、労働者が抱えるストレスは増大する傾向にあり、什事に対して強い不安やストレスを感じている労働者は6割を超えるという統計もあります。また、精神障害等に関連した労災補償状況をみると、請求および認定件数とも増加の一途をたどっています。

メンタルヘルスに関わる問題が労働者本人はもちろん、その家族や職場に与える影響は今日、ますます大きくなっていることはいうまでもありません。事業所におけるメンタルヘルスの積極的な増進は、社会全体の健全な発展をうながすうえでも、非常に重要な課題となっています。

以上のような背景から昨年10月に厚生労働省は労働安全衛生対策をより一層強化するための審議を行い「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」が示されました。そのポイントは3点あります。

①メンタルヘルス対策の充実・強化

メンタルへルスケア
最近一カ月間のあなたの状態についてうかがいます。最もあてはまるものに○を付けてください。
  ほとんどなかった ときどきあった しばしばあった ほとんどいつもあった
疲労 1ひどく疲れた 1 2 3 4
2へとへとだ 1 2 3 4
3だるい 1 2 3 4
不安 4気がはりつめている 1 2 3 4
5不安だ 1 2 3 4
6落ち着かない 1 2 3 4
抑うつ 7ゆううつだ 1 2 3 4
8何をするのも面倒 1 2 3 4
9気分が晴れない 1 2 3 4

②型式検定および譲渡の制限の対象となる器具の迫加

③受動喫煙防正対策の充実・強化明します。

法律案では事業者は職場において、「メンタルヘルスケア」に積極的に取り軌むよう定められました。さらに全事業者に義務づけられる健康診断受診時に、ストレスに関連する症状・不調を見極める9項目のメンタルチェックを受けることも定められました。メンタルチェックの内容はまだ検討段階ですか、図のように示されています。

外部機関の活用を

労働者がストレスに対処するうえで、自ら気を配る「セルフケア」の必要性を認識することが故も重要です。しかし職場に存在するストレス要因には、自身の力だけでは取り除くことができない要素も多々あります。「セルフケア」に加えて「ライン(上司) によるケア」「職場内産業保健スタッフ等によるケア」および「職場外資源(職場外でメンタルヘルスケアへの支援を行う機関および専門家)によるケア」の四つを効果的に組み合わ せ、継続的に行うことが大切です。

労働安全衛生法では常時使用する労働者が50人以上の事業所では嘱託産業医を、1000人以上は産業医を置かなければならないとされていますが、常時使用する労働者が50人未満の小規模事業所では、産業保健スタッフを確保できない場合が多いと思います。そのさい事業者は「衛生推進者」または「安全衛生推進者」を選任するとともに、地域産業保健センターやEAPサービス機関等が提供する各種支援策を積極的に活用することが望ましいといえます。

厚生労働省がすすめるトライアル雇用とは

厚生労働省がすすめるトライアル雇用とは

従業員の採用を考えています。トライアル雇用という制度があると聞きましたが、詳細を教えてください。(飲食店経営)

「トライアル雇用」とは、事業主が原則3カ月の問に対象となる労働者の適性や、業務遂行の可能性などを実際に見極めたうえで、本採用するか判断できる制度です。

労働者にとっては実際に働くことを通じて、企業が求める適性や能力を把握することができます。厚生労働省はトライアル雇用を推進するために、試行雇用(トライアル雇用)奨励金制度を設けました。詳細は以下のとおりです。

【対象となる労働者および要件】

公共職業安定所に求職申し込みをしている者のうち①~⑦のいずれかに当てはまり、かつⒶ~Ⓗにあげた全ての要件を満たす者です。

①トライアル雇用開始時に45歳以上である中高年齢者
②トライアル雇用開始時に45歳未満の若年者等(下記個別要件あり)
③母子家庭の母や生活保護を受けている者
④季節労働の特例受給資格者であって、トライアル雇用開始時に65歳未満である者
⑤中国残留邦人等永住帰国者
⑥障害者
⑦日雇い労働者・住居喪失不安定就労者・ホームレス
A公共職業安定所長が認めた者をハローワークの紹介によりトライアル雇用として雇い入れたこと
Bハローワークから職業紹介を受ける以前に、当該職業紹介に関わる対象労働者を雇用することを約していないこと
C雇用保険適用事業主であること
Dトライアル雇用を開始した日の前日から起算して6カ月前の日からトライアル雇用を終了した日までの間に、事業主の都合により解雇等をしたことがないこと
Eトライアル雇用を開始した日の前日から起算して過去3年間に、当該トライアル雇用に関わる対象労働者を雇用したことがないこと、
F奨励金の支給を行う際に、前々年度より前のすべての保険年度において、労働保険料を納入していること
Gトライアル雇用を開始した日の前日から起算して3年前の日から奨励金の支給決定を行う日までの間において、不正行為により奨励金および各種給付金の不支給措置を受けたことがないこと
Hトライアル雇用を実施する事業所において、トライアル雇用された労働者の出勤簿、貸金台帳等を整備・保管し、試行雇用労働者に支払うべき貸金を支払期日までに支払っていること

この他にもいくつかの要件があります。詳細は最寄りのハローワークにお問い合わせください。

なお、45歳未満の求職者向けは「若年者等トライアル雇用」とよばれており、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。①学校卒業後未就職など職業経験がない人②職業経験が浅く、経験のない職種または業務で長期的に安定した就業を希望する人③過去の相当期間失業している人。

【受給までの手続き】

雇い入れから2週間以内に、「トライアル雇用実施計画書」を対象労働者の同意を得たうえでハローワークに提出します。3カ月間のトライアル雇用が終了後、またはトライアル雇用期間中に常用雇用に移行したことにより、トライアル雇用が終了した日の翌日から起算して1カ月以内に「トライアル雇用結果報告書兼試行雇用奨励金支給申請書」とさきの計画書の写し、および当該労働者の山勤薄・貸金台帳等の写しを添えてハローワークに提出します。

【奨励金の金額】

対象労働者1人につき、月額4万円×最大3か月間=12万円まで支給されます。トライアル雇用制度は、事業主.労働者双方にとって多くのメリットがあり、一定の条件を満たせば三カ月間奨励金が支給される便利な制度です。活用のご検討をおすすめします。

為替デリバティブ被害の解決策は

為替デリバティブ被害の解決策は

急激な円高の影響によって「為替デリバティブ」で損失を」出しています。早期に解決できる方法があれば教えてください。(機械製造.御売業者)

円高傾向が続いている昨今、為替デリバティブ取引の損失によって、多くの中小企業が倒産の危機に陥っています。

金融庁の調査(平成23年3月公表)によると、銀行から販売された為替デリバティブ商品を抱える中小企業数は約1万9000社、契約本数は4万本にのぼります。これらの契約の多くは、為替レートが1ドル110円~120円前後で推移していた平成16~19年度に販売されたものです。

そのため、顧客である中小企業は、リーマン・ショック後の急激な円高の影響で、場合によっては数千万円から数億円の損失を抱えていると考えられます。その結果、為替デリバティブ取引による毎月の支払いが、堅調に推移している本業の収益を圧迫し、多くの顧客(中小)企業が倒産の危機にさらされているのです。

金融ADRの利用

為替デリバティブとは、外国為替という現物の金融商品から派生した取引の一種。そのうち、現在、中小企業に甚大な被害をもたらしている代表的なものが「通貨オプション取引」です。

銀行は「為替リスクをヘッジするため」と称して、為替デリバティブ商品を販売してきました。しかし、今日、そもそもその企業が為替リスクをヘッジする必要があったのか、あったとしてもオーバーヘッジではなかったのか。そして、そもそも当該商品が為替リスクをヘッジする商品ではなかったのではないかという問題点が指摘されています。また、中小企業が為替デリバティブ取引を中途解約しようとしても、銀行が一方的に算出する違約金が数千万円から数億にのぼり、解約が事実上困難という問題点もあります。

では、この間題にどう対処すればよいのか。

為替デリバティブ被害を解決するための有効手段は、①銀行への支払いの停止②金融ADRの利用③訴訟の擬超などがあります。このなかで、いま注目されているのが②の金融ADRです。これは、金融機関と利用者との間で行われた金融取引をめぐる紛争につき、裁判以外の方法で解決をはかる手続きの略称です。金融ADRを利用すれば訴訟を捉起した場合と比較して、迅速かつ柔軟な解決をはかることが可能です。

具体的には、全国銀行協会やFINMAC(フィンマック)といった指定紛争解決機関にあっせんの申し立てを行います。その後、経て、あっせん案が提示され、銀行と中小企業の双方がその案を受講すればあっせんが戌」止します。

このあっせん案の主な内容は、中途解約金の減額や、未払い金の減額が一般的です。あっせん案が提示されるまでの期間は、長くても4カ月程度ですから、中小企業にとって、為替デリバティブ損失を早別に解決できる手段となり得ます。

ただし、金融ADRでは既に支払ってしまった損害金を含めた解決は難しいので、既払い金の返還を求める場合には民事訴訟を提起することになります。

現在、当アディーレ法律事務所では為替デリバティブ被害救済のため、豊富な知識と経験を持つ弁護士で専門チームを離み対応にあたっています。被害解決に向けて全力を尽くしますので、お気軽にご相談ください
(http://derivative.adire.jp/

残業時間の削減に取り組もう2

残業時間の削減に取り組もう

制度導入だけでなく業務内容の見直しも必要

品川社長:
「ノー残業デー」や「残業の事前承認」の導入が多いようだね。
上野課長:
それでも、他の曜日の残業が増えたり、自宅に仕事を持ち帰っていたら意味がありませんよね。
品川社長:
繁忙期や急な注文への対応などがあったときはやむを得ないとしても、日常的に残業が発生している現状には、何らかの原因があるはずだ。その原因もわからないまま、ノー残業デーなどの制度だけを導入してもうまくいかないだろうな。業務量を減らして、売上まで減ったら意味がないしあ。
上野課長:
残業が発生する原因を具体的に調べないとだめですね。(図表1)
品川社長:
残業の発生原因は一つではなく、様々な理由や非効率なやり方などがあるかもしれないね。それをできることから一つひとつ改善して、無駄をなくして業務の質を上げることが大切だね。
上野課長:
成功例を調べて齢 ̄業務内容を見直して、課題を改善しながら、業務の効率化をはかっているようです。その過程のなかで、従業員の意識も変わっていくようですね。
品川社長:
よし、うちでも-業務改善を進めながら、少しずつ削減していくことにしよう。
なぜ、残業が多いのか(製造業の例)