先般、阿部政権の成長戦略の一環としての「創業補助金」(1社100~700万円)の一次募集で526の事業が採択されたという発表がありました。一般的に新規事業の成功率は10%以下と言われており、今回採択された526件の新規事業も3年後には成否が明確になっていることでしょう。
今回の補助金を申請するためには、写真のような「事業計画書」が必要でした。この事業計画の各項目を的確に書けた人はこの創業で大失敗を避けられるでしょう。事業計画はビジネスを俯瞰した「儲けの全体像」であり、全体を見通しながら行動することで、見込みのないビジネスへの過大投資回避や、将来性のある商品・サービスの継続的開発が可能になるからです。今回のこの「事業計画書」を通して自社の事業のほころびを見つける視点をご紹介します。
儲けの全体像を振り返る
1商品・サービスの特徴・独創性
まずは、自社の商品・品ぞろえの特徴や優位性は何なのかを分析してみます。そのためには、お客様にとっての「当社以外の選択肢・代替案」(競合店舗や競合商品など)を調べあげ、当社との違いを出してみるとよいでしょう。
売り上げ不振の多くは、お客様が競合他社・代替商品を選んだ、あるいはその商品ニーズそのものが少ない、ということが原因です。かつて「ウリ」だったものも、今の時代・お客様のライフスタイルには合わなくなっているかもしれません。そんな場合には、多くのお客さまのニーズに合う形で、新しい商品やサービスを作ることが欠かせません。
2市場の特性、市場規模
自社の商品を購入する人が市場に十分にあるかどうか、その増減傾向を統計資料などを使って把握します。日本の人口自体は2008年をピークに減少していますが、例えば「ペットを愛する人口」「豊かな暮らしをしたいシニア人口」などは増加しており、そういう有利な市場を見つけることが経営者の需要な仕事です。
3売り上げ・利益等の計画
3ヵ年の売上高・原価・販売管理費・営業利益高を計画してみましょう。売上高を書いたら、それを達成するために、平均客単価をいくら、1日の目標客数を何人に設定する必要があるかを計算してみるとよいでしょう。将来像を具体的に数字で描くことで、販促策やビジネスアイディアが生まれてきます。
4その他
「価格設定や販売促進活動」「事業開始動機、将来の展望」「経営者やスタッフのノウハウ・技術・人脈等」「資金調達方法」などを検討していきます。「会社の経営を計画したとしてそれがその通りになることはない。しかし、計画しないよりも断然いい成果が出せる」とは、ピーター・ドラッカーの言葉です。上記のような視点で節目節目に経営戦略・事業計画を立てることは、冷静な戦略眼を養うために欠かせないことです。