毎月の業績を正しくつかみましょう
企業が、毎月の業績を正しくつかんで、経営に役立たせるためには、月次決算が不可欠ですが、月次決算が定着している中小企業は多くありません。しかし、金融機関が融資にあたって、正しい計算書類やこれに基づく経営計画を求める時代になりつつある現在、中小企業には、これまで以上に月次決算体制を確立することが求められています。
(1)未払いの経費などを月末に計上する
現金主義では、広告宣伝費などの販売費や、一般管理費(家賃、リース料、電話料、水道光熱費、社会保険料など)は、実際に支払った月の経費に計上されています。
しかし、通常、発生した月と実際に支払う月にズレが生じるために、月次の損益に影響を与える経費等もあります。そのような経費等については、請求書や納品書、契約書などをもとに未払金や未払費用として、発生した月に計上します。
(2)年払いの経費などを月割計上する
労働保険料や固定資産税、損害保険料など年払いや特定の月にまとめて支払う経費や賞与の中には、特定月の経費が多額に計上されることで月次の損益に影響するものもあります。
このような経費を月割計上(賞与は年間の見積額を月割計上)することで、発生額が平準化され、労働保険料の支払月や賞与支給月に費用負担が集中し、月次の損益が大きく変わるといったことを回避することができます。
(3)毎月、在庫を計上する
月初、月末の在庫を計上することで、毎月の売上原価と粗利益をつかむことができます。正確な月末の在庫を把握するには、毎月、実地棚卸を行うことが理想ですが、なかなか容易でないと思います。
そのため、予定原価率を用いて概算計上したり、棚卸の対象とする商品を毎月変えたり、金額の大きい商品に絞るなどの方法もあります。
(4)減価償却費を月次で計上する
機械装置や車両、建物などの減価償却費は、期末に計上しますが、年間の見積額をもとに12分の1づつ、毎月、月割計上します。
これによって、減価償却費の計上を平準化して、毎月の業績に反映させることができます。
月次決算のステップ・バイ・ステップ
会計処理の基本
- 毎日の現金残高合わせができていますか。
- 帳簿への記帳(入力)が適時・正確にできていますか。
- 証憑書類の整理保存がきちんとできていますか。
発生主義による月次決算
- 売上を出荷、相手方への納品時に計上し、仕入を入庫時に計上できていますか。
- 毎月の在庫を実地棚卸や概算計上等の方法で把握し、月次の売上原価、粗利益 (限界利益)を把握できていますか。
- 販売費や一般管理費を月次で計上できていますか。
- 減価償却費の月割計上ができていますか。
- 固定資産税や労働保険料などまとめて支払う費用を月割で計上できていますか。
- 売掛金や買掛金の残高管理を行い、請求漏れや入金遅れ、二重請求ミスなどの防止や、資金繰りに活用できていますか。
- 在庫管理を行い、誤発注、誤納品、滞留在庫、紛失・盗難、在庫切れの防止などに活用できていますか。